椨屋たぶや
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見つからない家

本作は、椨屋に記録された類型・土地・存在を題材にした完全な創作です。実在の伝承・事件・人物とは関係ありません。AIを用いて書き、編集者が選んでいます。

ロードバイクで峠道を走っていた男は、突然の夕立に遭い、地図アプリにも載っていない脇道へ逃げ込んだ。しばらく走ると、灯りの点いた古い大きな家の軒先に行き当たった。呼び鈴を押しても返事はなかったが、玄関の三和土には小さな靴が並び、奥からは夕飯の匂いが漂ってくる。誰かがついさっきまでそこにいたような気配だけがあった。

雨がやむのを待つ間、男は玄関先に腰掛けて家の中を眺めていた。廊下の奥でちらりと人影が動いた気がしたが、声をかける勇気は出なかった。やがて雨が上がると、男は礼を言う相手も見つからないまま、来た道を戻った。

後日、あの家をもう一度訪ねようと同じ道を走ってみたが、地図アプリの示すルートは途中で行き止まりになっており、あの脇道自体が見つからなかった。一緒に探してくれた友人は「そんな道、最初から無かったんじゃないか」と半分笑いながら言う。

それから男は時折、あの家の玄関先の匂いを、はっきりと思い出す夜がある。もう一度雨に降られたら、今度こそ声をかけてみようと思っているが、あの脇道に二度とたどり着けたことはない。