本作は、椨屋に記録された類型・土地・存在を題材にした完全な創作です。実在の伝承・事件・人物とは関係ありません。AIを用いて書き、編集者が選んでいます。
登山系の動画を撮るのが趣味の男が、遠野近郊の山道を一人で歩いていた。日暮れが近づき引き返そうとした時、木立の間に長い黒髪の女性が立っているのが見えた。こんな時間にこんな場所を、しかも軽装で歩いているのはおかしいと思い、男はとっさにカメラを構えたが、確認すると映像にはただ揺れる木々が映っているだけで、女性の姿はどこにも写っていなかった。
その夜、下山して山小屋の宿泊者ノートに何気なく目を通していると、数年前にも同じあたりで「髪の長い女性を見た」という短い書き込みがあるのに気づいた。名前も日付もぼかされたその記述には、「何も持たずに通り過ぎるのがいい」とだけ添えられていた。
翌朝、男が装備を片付けていると、テントの外に小さな赤い櫛が一つ置かれているのに気づいた。持ち主を尋ねようにも周りには誰もいない。男は迷った末、それを持ち帰らず、来た道の途中、木立の同じあたりにそっと置いて山を下りた。それ以来、あの山道を歩くたびに、なぜか道に迷うことだけはなくなったという。