T1 — 妖怪・怪異
得体の知れないものに出会う話。姿を見せるもの、声だけのもの、正体が知れないまま終わるもの。
遠野25話
- 第九話大谷地の谷底より呼ぶ声笛の名人菊池弥之助が仲間と境木峠を越える途中、笛を吹きながら大谷地の上を過ぎると、深い谷の底から「面白いぞー」と高い声で呼ぶ…
- 第十四話オクナイサマとオシラサマの祭祀旧家(大同)には桑の木で作った神像オクナイサマを祀り、正月十五日に里人が集まり祭る。同様にオシラサマも祀られ、神像に白粉を塗…
- 第十五話オクナイサマ田植えの奇瑞田植えの人手が足りず困っていた阿部家に、見知らぬ小僧が現れ手伝い、日暮れまでに田植えを終わらせた。小僧は姿を消したが、縁側に…
- 第十七話ザシキワラシの目撃談旧家にはザシキワラシという十二三歳ほどの童児の神が住むという。今淵家では帰省中の娘が廊下で男の子の姿を見て驚き、佐々木家では…
- 第十八話座敷童子の去った家の没落旧家山口孫左衛門の家には二人の童女の神が住むと伝えられていたが、ある男が橋のほとりで見馴れぬ二人の娘に出会い、孫左衛門の家か…
- 第二十八話早池峯の化け物坊主退治早池峯に初めて山路をつけた附馬牛村の猟師が仮小屋で餅を焼いていると、大きな坊主が現れ餅を欲しがり食べた。翌日餅に似せた白石を…
- 第二十九話鶏頭山の天狗と黄金天狗が住むと言われ早池峯参りの者も避ける鶏頭山に、無法者で知られる男が賭けで登った。頂上の岩の上で金銀を広げていた大男三人に…
- 第三十三話白望山の怪光と幻の黄金白望の山で夜を明かすと深夜あたりが薄明るくなり、谷の彼方で大木を伐る音や歌声が聞こえることがある。茸採りの者が山中で金の樋と…
- 第三十四話離森長者屋敷の女白望の山続きにある離森の長者屋敷は無人の地で、ここで炭を焼く者が夜、小屋の垂菰をかかげて中を窺う髪の長い女を見た。このあたり…
- 第三十五話白望を走る女佐々木氏の祖父の弟が白望で茸を採り宿った夜、谷を隔てた森の前を女が中空を走るように行くのを見た。女が「待てちゃア」と二声ほど…
- 第五十五話河童の子を孕む娘猿ヶ石川流域には川童が多く住み、松崎村の家では二代にわたり川童の子を孕んだ者があった。生まれた子は醜怪で刻んで樽に埋められた…
- 第五十六話棄てた河童の子消える上郷村のある家でも川童らしき子が生まれた。全身赤く口が大きい忌まわしい姿だったため道の辻に棄てたが、見世物にすれば金になると…
- 第五十七話河童の足跡川岸の砂の上に川童の足跡を見ることは珍しくなく、雨の翌日に特に多い。猿の足と同様に親指が離れて人間の手の跡に似ているが、長さ…
- 第五十八話馬を引く河童の捕縛新屋の家で馬を淵に冷やしに行った際、川童が馬を引き込もうとして逆に引きずられ、厩前で馬槽に覆われて捕らえられた。村人が殺すか…
- 第五十九話赤い顔の河童目撃他所の川童は顔が青いというが、遠野の川童は顔が赤いとされる。佐々木氏の曾祖母が幼い頃、庭の胡桃の木の間に赤い顔の男の子を見た…
- 第六十一話白鹿に化けた石名高い猟人が六角牛で白い鹿に出会う。白鹿は神とされ祟りを恐れつつ撃つが弾は当たらず、魔除けの黄金の丸を用いても動じない。近づ…
- 第六十二話山中の赤衣の怪猟人が山中で夜を明かすため大木の周りに魔除けの縄を巡らせて眠っていると、赤い衣を羽ばたかせた大きな僧形の者が梢を覆う。鉄砲を…
- 第七十五話燐寸工場に現れる女離森の長者屋敷にあった燐寸工場の小屋の戸口に、夜になると女が現れ人を見て笑うため、工場は山口へ移された。その後山中の枕木伐出…
- 第七十九話玄関に消えた懐手の男先代の長蔵が夜遊びから帰ると門口に懐手の男が立っており、妻への通い者かと近づくと男は玄関の隙間から中へ消えた。戸の隙間に手を…
- 第八十二話茶の間に立つ影法師田尻丸吉が少年の頃、便所に行こうと茶の間に入ると座敷との境に髪を垂らした人影が立っていた。手を伸ばして探ると板戸に触れるのみ…
- 第百話妻に化けた狐を斬る船越の漁夫が夜道で妻らしき女に出会い、化物と思い込み庖丁で刺し殺す。急ぎ帰宅すると妻は無事で恐ろしい夢を見たと語り、再び現場…
- 第百三話小正月に出る雪女小正月または冬の満月の夜には雪女が童子を大勢連れて現れるとされ、子供は早く帰るよう戒められるが、実際に雪女を見た者は少ない。
- 第百十五話御伽話とヤマハハの話遠野郷で御伽話のことを昔々といい、その中でヤマハハ(山姥のこと)の話が最も多く語られているという前置き。
- 第百十六話山姥に追われた娘留守番中の娘の家にヤマハハが入り込み食事をさせている隙に娘は逃げ出すが追われ、柴刈りや萱刈りの翁に助けられ沼のほとりの木に登…
- 第百十七話娘に化けた山姥を鶏が暴く留守中にヤマハハが娘を食い皮を被って成りすますが、翌朝鶏が「糠屋の隅を見ろ」と啼き、嫁入りの馬上でも真相を歌い続けたため両親…
紫波郡18話
- 第一話瓜子姫こ川から流れてきた瓜を拾った婆さまが中から生まれた女の子を瓜子姫として大切に育てるが、留守番中に山婆に騙されて食べられ、皮をか…
- 第九話化物寺住職が代々食い殺されるという化物寺に旅の僧が泊まると、夜中に三つ目で歯の大きな入道が次々現れて頭を弾こうとするので、旅僧は木…
- 第十三話糠福と米福継母は先妻の子・糠ん福には底の破れた叺を、実子・米ん福には無事な叺を持たせて栗拾いに行かせ、姉に先を歩かせて意地悪をする。山…
- 第十九話山婆山寺の小僧が山で美しい女に出会い夜に会う約束をするが、和尚は正体を山婆と見抜きお札を三枚持たせる。小僧は山婆の家から便所と偽…
- 第二十話化げ茶釜博打に負けたもんぢやの吉が程島付近で狐に出会い、小豆飯と鰊を渡して立派な茶釜に化けてもらい、それを山寺の和尚に高値で売りつけ…
- 第二十二話伊勢詣り毎朝南の方角を見つめる子どもが伊勢参りを望み、親に許されて旅立つ。ある村では一人旅の者は村外れの空き家に泊まるよう言われ、そ…
- 第二十三話伊勢詣り子伊勢参りに出た子どもが空き家に泊まると、夜中に赤蝋燭と赤坊主、黒蝋燭と黒坊主が現れて踊った後、美しい女性が現れて座敷と常居の…
- 第二十五話桃賣殿樣若者は水浴びしていた三人の天女のうち一人の羽衣を隠して妻にするが、天女が描いた自分の姿絵が風で殿様の庭に飛んで行き、殿様に見…
- 第二十七話伊勢詣り猫夫婦は実家から借りた猫に留守番をさせていたが、猫の役立たずを冗談で言うと、猫はひそかに石臼を挽いて働き者ぶりを示す。猫は伊勢…
- 第三十一話姥皮百姓の父親が蛙を助けてくれた蛇に娘を一人嫁にやる約束をし、末娘が承知して蛇の元へ嫁ぐ。娘は蛇の穴に針を投げ込んで大蛇の一族を…
- 第三十六話あぐな千繩学問好きな若者のもとへ天女が降りて妻となり、三年かけて織った布が殿様の目に留まる。妻の正体を疑った殿様は灰の縄千把や雷神を持…
- 第三十九話おんちこへんちこ博打に負けたもんぢやの吉が野原の地蔵と博打をして勝ち、地蔵から朱塗りの箆を譲り受ける。尻を拭うとその箆は「オンチコ・ヘンチコ…
- 第四十二話娘に通った蛇毎晩娘の寝間から話し声が聞こえるため両親が問いただすと、紋付羽織を着た男が通ってくると娘が告白する。両親は男の羽織の紋に糸の…
- 第四十六話牛方と山婆山中で日が暮れた牛方が余った肴汁を「食べに来い」とからかい半分に叫ぶと山婆が現れ、肴汁と牛を平らげてしまう。逃げ込んだ一軒家…
- 第五十話物食はぬ女房独身の男が山仕事の際、仲間と『物を食わない女房が欲しい』と話していると、そのような女が現れて妻になった。ところが米や味噌が減…
- 第五十五話大沼のぬし男が大沼のほとりで沼の女から五郎沼の男へ手紙を届けるよう頼まれるが、途中の茶屋の亭主が中身を盗み見ると自分を食い殺せという内…
- 第七十八話桃の子太郎子のない爺と婆が川から流れてきた桃を拾うと中から男の子が生まれ、桃の子太郎と名付けて育てる。成長した太郎は黍団子を持って鬼ケ…
- 第八十七話話賣り両親から二百両を持たされ旅に出た息子は、一話百両の「話売り」から「柱のない家に泊まるな」「不思議な物には気をつけて見よ」とい…
因幡・伯耆5話
- 第一話德尾の森の大坊主因幡国、野見宿禰を祀る德尾の森は昼も暗く「大坊主」の化け物が出ると評判であった。鳥取藩の武士・羽田半彌太が正体を見届けようと…
- 第三話天狗の寶物伯耆国大山の麓に住む博打好きの子供・太郎が、ある日大山へ薪取りに行き、樹木の茂った場所で休みながら賽子遊びに興じていると、上…
- 第四話天狗の宝物山で天狗に呼び止められた太郎は、持っていた品物と引き換えに隠れ蓑・隠れ笠を譲り受けるが、帰宅時に燭台の火で燃やしてしまう。焼…
- 第五話剃り女郎気高郡の立見峠に、人を化かして頭を剃り落とす狐が棲み、村人を悩ませていた。庄屋の酒宴で力自慢していた若者二人が退治を請け負い…
- 第十一話種ヶ池物語因幡国宮下村の長者が細川村から雇った美しい下女たねは、たびたびどこからか柿の実を持ち帰って皆に振る舞う。下男が跡をつけると…